文子のひとりごと


 山のあなたの空遠く 幸ひ住むと人の言ふ

 噫(ああ)われ人と尋(と)めゆきて 涙さしぐみ帰りきぬ

 山のあなたになほ遠く 幸ひ住むと人の言ふ 
                    
          カールブッセ作   上田敏訳



中学生時代だったかのように記憶していますが、暗唱できるくらいに覚えさせられた詩歌です。
その年頃にはこの詩の深い意味はわからなかったのですが、「山のあなた
」というフレーズにまだ見ぬ土地や果てしなく広がる将来に対する憧れを抱いたものです。
人生の山や坂、峠や谷をいくつか越えてきた今、人は生まれるときも一人、死ぬときも一人であり、本来孤独な存在であると実感します。
人間は社会的な生きものであり、一人では生きられないとも言われます。──  「われひとと尋めゆきて」のフレーズは孤独感を癒す仲間を求めていき、自分と同じように、“幸せ”を探しているたくさんの人にであったが、でもやっぱり幸せは見つからなかった。           
 それでも人は死ぬまで幸せという青い鳥を捜し続けるものなのだ・・・・というようにこの詩を解釈しています。                                                             

 山々の霊気に包まれる連休の旅をおえて、この懐かしい詩が乙女時代の思い出と共に甦ってまいりました。
        

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